自利利他

自利利他
 

タクシー運転手は路上の行者だ。運転して、誰かをどこかに運ぶことで、お布施をいただく。客に対するこだわりはない。怒られても褒められてもバカにされても、客は、お布施をいただける信者にすぎない。24時間近く、自分の世界に埋没する。誰にでもできる運転という行をし、お布施をいただく。タクシー会社は、僧院のようだ。誰でも、どんな過去があっても、運転さえできれば、受け入れる。

自分に対するこだわりはない。ただ、運転をして、お布施をいただくだけだ。そのお布施で生活ができる。修行を積んで工夫を重ねたドライバーは、圧倒的にお布施が多い。行者に似ている。
お布施の多い少ないは、あるが、日本全国どこに行ってもお布施はもらえる、生活はできる。誰にも縛られない。人間関係に悩ませられることはない。
自利利他、空海が言った言葉も当てはまる。巡行である。偉い人とも普通の人とも有名な人とも、分け隔てなく巡り合う。そして、何かを感じたり、感じなかったりする。ただ、それを引きずることはない。日々、新しい毎日