診断士とタクシー

親父は、63歳の時に、お袋の弟に騙されて、保証人になり、弟(私の叔父)が、突然、失踪、数千万円の保証債務を負い、自己破産した。当時、私は、それなりに稼いでいた。さらに仕事柄、交渉力は、一般の人より、高く、弁護士の力を借りずに自己破産手続きを私が行い、無事、免責となった。住んでいた茨城の土地件自宅も私が、安価で買い戻し、以降、私の経済的援助とお袋のパート収入、さらにはサラリーマン時代の年金で、のんびり暮らし、73歳で死んだ。

葬式も墓も私が負担した。
親父は、30代から零細企業の経営者、プライドだけは高かった。一時は、警備員として、働こうと思ったらしいが、人間関係から、わずか、1ヶ月で、逃げ出した。
それ以来、私に頼った生活を続けた。
私も同じようなもの、親父と同じ年齢で、仕事上のトラブルにあい、仕事が激減した。ただ、私は息子に頼る気持ちはない。時代の違いもあるが、息子は超大企業に勤めて、それなりに苦労している。
こうして、私はタクシーの運転手になった。親父より、根性があるので、自分の仕事(有限会社)を続けながら、週二日、タクシーに乗っている。年齢も含めてタクシーしか、時間が自由になる仕事はなかった。
自分の人生を振り返って、泣きたくなることもあるが、妻にこれ以上苦労させたくない。
客の奴隷である運転手の仕事にもいくらか、慣れてきた。売り上げも平均を超えている。
 
生きるということは、結構、大変だ。タクシーがいくらか、落ち着いてきたので、本業の中小企業診断士の仕事に力を入れる余裕も出てきそうだ。
 
人生何とかなる。もうダメだ、と思った時から修行が始まる。