見かけで判断してはいけない

昨日の深夜というより、今朝早い時間、たまたま、上野に向かう途中で、男性に手を挙げられた。逆方向なんですが、大丈夫?と聞くので、もちろん、と答えた。昨日は、クリスマス、それも年末前の月曜日、みんな家から出たくない。

あれほど奪い合いだった深夜のタクシーも空車が目立つ。私は、昼間それなりに動いたため、いつもと変わらぬ売り上げを取っていたが、もう一声、というイメージだった。その男性を上野とは逆方向の五反野まで、送っていった。

下ろした直後、短髪の茶髪、いわゆる悪そうな若者が窓を叩いた。乗せたくなかったが、そうはいかない。乗車拒否はしない、志だ。

どうぞ、と明るく乗せると、妙におとなしい。中学時代の仲間と集まって、深夜2時過ぎまで楽しく飲んでいたという。こんなところで、タクシーがつかまるとは思わなかったので、約2キロ強の道を歩いて帰ろうと思っていた、という。さらに昼間の暖かさの影響か、冬とは思えない薄着だった。たまたま、私に出会してよかったね、というとありがとうございます、という素直な答え、そんな話をしながら、数分、彼は近くて、申し訳ない、と本気で語る。そんなこと、気にする必要はないですよ、お客様は、お客様だから。

金額深夜割り増しも含めて1300円、ありがたく、いただこうとするとゴソゴソと1500円を私に渡す。失礼だと思うが、ジュース代にでもしてください、という。

人は見かけによらない。教養高そうな紳士風が、出鱈目な口を聞くかと思うと、茶髪のヤンキーが、極めて丁寧な態度で、ジュース代まで、渡してくれる。

この2百円は、お守りにすることにした。

深夜ラーメン浅草(花川戸)弁慶

しつこく見えるがしつこくない。バランスが人気の秘密か。