不死身婆さん

末期がんと結核を患い、入院していた母が、退院することになった。はっきりいってもう諦めていた。90歳代の結核の死亡率は40%を超える。さらに癌との併発だ。家族葬の準備すら、進めていた。

どうやら、結核が完治したようだ。私も妻も老人介護施設の職員も保健所の強制検査を受けた。皆、陰性で、周りに迷惑をかけなかったことだけは救いだ。となると、問題は、これからどうするかである。結核が完治すると、たとえ末期癌であっても病院に入院は続けられない。

日本はいい国だ。利益目的であろうが、そうではなかろうが、親切に施設を探してくれる業者がいる。私の自宅から、自動車で15分程度の場所の施設が受け入れてくれる、という。

私の息子は、「婆さん、不死身なんじゃない」と呆れていた。喜んでいた。不死身もどうかとと思う。20年前に死んだ親父、そろそろ迎えに来いよ、が本音だ。