身内のタクシー運転手

久しぶりに年下の従兄弟と話した。彼は、結構、複雑な環境に育っており、実の母は、男を作って逃げた。残されたおじはほぼアル中で、生活力が欠落している。従兄弟は、親戚を盥回しにされ、一時はうちにいたこともあった。

叔父は再婚し、母違いの弟が生まれる。当然、新しい母は、自分の子を大切にし、従兄弟は、弾かれ続けた。結果的に高校中退、タクシー運転手となったが、孤独な人生を送る。一時は実母と暮らしていたこともあったようだが、実母も早く亡くなった。タクシー運転手から、いくつかの仕事を経験し、今は再びか、三度か、わからないが、ベテランタクシー運転手として暮らしている。
私がタクシーに乗っていることを話すと嬉しそうに、同意した。今は副業タクシーがたくさんいるらしい。
初めて、従兄弟に親近感を強く感じた。親族に先輩タクシーが存在するのは心強い。
近々、会って、お酒でも飲もう、という話になった。私のタクシー愚痴を真剣に聞いてくれそうだ。どうやら、長く続けるコツは、真剣にならないことのようだ。彼は、決められた時間より、いつも早く帰る、という。売り上げも気にしていない。無線も取らない。マイペースでやっていてもいいのが、タクシー仕事のいいところらしい。私も見習うことにする。