新人タクシーに注ぐ

 

タクシー運転手4ヶ月、分かったことがある。無理しないことだ。私が所属する会社は、自損事故が相次いでいる。私もどうようで、はじめて2ヶ月は、自損事故の連続で、あるいは顧客からのクレームが連続で、向いてないのでやめようと思った。この数ヶ月、自損事故からも顧客からのクレームからも解放された。

①無理して無線を取らない

②せこいナビをせこいなりに使いこなす

③自身事故を避けるため、ゆっくりカメのように走る

④客の文句を気にしない

これだけで、なんとかなります。

タクシー運転手は、今のところ、売り手市場だ。ある程度年齢がいっていても転職、副業出来る数少ない業務だ。私の場合、プライドを捨てることも重要だった。

タクシー運転手には、独自の世界があり、運転手同士が、話す時は、自慢話ばかりだ。

 

小田原

今日は、本業のコンサル仕事、小田原のお金持ちの新事業戦略の交渉だった。

なんだか。いつも以上に強気だった。タクシー運転手をやったことにより、コンサル仕事がどうでも良くなっている。これは、悪い意味ではない。長いこと、コンサルだけで食べてきた。それなりのこだわりがあり、それなりのプライドも持っていた。

違う空気を吸うことの重要性だろう。タクシー仕事は向いていないが、この歳になって、新しい空気を知ったことはプラスだろう。タクシー運転手としては、素人だが、少しづつ、苦痛は感じなくなっている。



身内のタクシー運転手

久しぶりに年下の従兄弟と話した。彼は、結構、複雑な環境に育っており、実の母は、男を作って逃げた。残されたおじはほぼアル中で、生活力が欠落している。従兄弟は、親戚を盥回しにされ、一時はうちにいたこともあった。

叔父は再婚し、母違いの弟が生まれる。当然、新しい母は、自分の子を大切にし、従兄弟は、弾かれ続けた。結果的に高校中退、タクシー運転手となったが、孤独な人生を送る。一時は実母と暮らしていたこともあったようだが、実母も早く亡くなった。タクシー運転手から、いくつかの仕事を経験し、今は再びか、三度か、わからないが、ベテランタクシー運転手として暮らしている。
私がタクシーに乗っていることを話すと嬉しそうに、同意した。今は副業タクシーがたくさんいるらしい。
初めて、従兄弟に親近感を強く感じた。親族に先輩タクシーが存在するのは心強い。
近々、会って、お酒でも飲もう、という話になった。私のタクシー愚痴を真剣に聞いてくれそうだ。どうやら、長く続けるコツは、真剣にならないことのようだ。彼は、決められた時間より、いつも早く帰る、という。売り上げも気にしていない。無線も取らない。マイペースでやっていてもいいのが、タクシー仕事のいいところらしい。私も見習うことにする。

不死身婆さん

末期がんと結核を患い、入院していた母が、退院することになった。はっきりいってもう諦めていた。90歳代の結核の死亡率は40%を超える。さらに癌との併発だ。家族葬の準備すら、進めていた。

どうやら、結核が完治したようだ。私も妻も老人介護施設の職員も保健所の強制検査を受けた。皆、陰性で、周りに迷惑をかけなかったことだけは救いだ。となると、問題は、これからどうするかである。結核が完治すると、たとえ末期癌であっても病院に入院は続けられない。

日本はいい国だ。利益目的であろうが、そうではなかろうが、親切に施設を探してくれる業者がいる。私の自宅から、自動車で15分程度の場所の施設が受け入れてくれる、という。

私の息子は、「婆さん、不死身なんじゃない」と呆れていた。喜んでいた。不死身もどうかとと思う。20年前に死んだ親父、そろそろ迎えに来いよ、が本音だ。

 

立ち食いそばの魅力

日暮里に友人が住んでいる。元々、川口のタワーマンションに住んで幸せな家庭生活を送っていたが、ある理由から離婚、息子の学費、住宅ローン、嫁の生活費を含めて、月25万円以上、支払っている。

私と同じ国家資格を持つベテランだが、今は日暮里のアパート(14平米)に一人で住み、今年中に実家が経営する居酒屋の2号店を日暮里で経営しようとしている。何年振りかで飲んだ。1軒目の居酒屋は私の好みではなかったが、2軒目の立ち食い蕎麦屋、一吉は、素晴らしい。
 
立ち食いそばは、大好きで、機会があれば食べる。とくにゲソ天そばが好みで、あれば必ず食す。日本橋のよしそばも愛している。両店とも昼時には列ができる。よしそばは残念ながら、ゲソ天そばはないが、半ライス、あるいはライスを頼むと、鰹節の粉末が付いてくる。鰹節問屋が直営しているらしい。
 
女性の客も多く、もりもり大盛りを食べている。
 
日本はやはり、いい国なのであろう。1000円以下で美味しいラーメンや美味しいそばが気軽に食べられる。ラーメン屋は外人が侵食しているが、立ち食いそばは、さすがに外人の姿を見ることはほとんどない。
 
ただ、侵食されるのも時間の問題だろう。snsは、日本の独自性を取り上げて、円安の勢いで、インバウンドを呼び込む。店にとってはいいのかもしれないが、昔からのドメスティックには、迷惑だ。



笹新とライオン

若い連中は、ジロリストというらしい。伝統の背脂チャカチャカラーメンジロウ、最近は、あちこちに出店している。私は、35年くらい前に知った。どうやら、ほとんど、個別経営でフランチャイズや直営ではないようだ。

なぜ、三田の本店に行ったのか、覚えていない。当時、慶應大学とも縁がなかった。タクシーに乗せたのは、ゼネコンの若手、4人組だった。どうやら、早稲田出身らしい。私も新卒でゼネコンに入って、7ヶ月で辞めている。今はコンプライアンスの問題もあり、それほどひどくはないと思うが、40年前のゼネコンは軍隊のようだった。下請けは奴隷、私が辞めたきっかけは、下請けの農家の親父さんが、作業中、小指を失った。本来、労災だが、数十万円のお金を渡すことで、うちうちで納めた。それが気に食わなかった。
ラーメンジロウの話が、若い連中から出るとは思わなかった。ジロウ好きをジロリストというらしい。
 
ラーメンがブーム、そのほかの安くてうまい食い物や、飲み屋もブームになっている。悪くはない傾向だが、大人の昔からの密かな場所がマスコミや若い連中に踏み荒らされているような気もする。
若い連中は、カッコつけて、小高い店に行ってくれ、おっさんは、カッコつける筋合いがないので、さらにすでに高い店には行き尽くしているので、安くて、気ままな店がいい。
 
とくに古くて、静かな店がいい。できれば一人、多くても二人だ。人形町笹新が、若者で賑わっているのは合点がいかない。気に食わない。銀座ライオンの本店も外人に占領されて、予約を取らなくなったらしい。
 
ライオンは昼間の午後、有名女優が一人でビールを飲んでいるような店だった。

タワーマンション住人

本当に腹が立つ、タクシー仕事をやっていてなんとかマンションのイーストタワーの車止めにこい、という無線が入る。イースト、ウエスト、さらにサースもあったりする。お前は毎日住んでいるだろうが、そもそも、お前が住んでいるマンション名なんて知らねいよ、行ってみると車止めではなくただのエントランスだったりする。とくに中途半端な賃貸タワーマンションの客が多い。それも大崎とか、品川のはずれとか、中途半端な場所、お前はプライドを持って、住んでいるだろうが、そんなくそプライドに付き合ってはいられない。

インチキ野郎ほど、そんな場所に住みたがる。インチキ女も同じ。
 
車止めというのは、係員がいて、さらに自動車を誘導するような場所のことを言う。賃貸マンションに係員がいるはずもなく、だいたい迷う。エセ物持ち、犯罪スレスレで生きている連中の巣窟に見えて仕方がない。日本は滅びる。
こんな連中に付き合うのは辞めた。こんな連中に限って、距離は短く、1000円以下の乗車料だ。態度も悪い。乗ってやってる、呼んでやってる、くるのは当たり前、ふざけるな、迷った挙句自損事故を何回も起こしている。
 
こちらにも選ぶ権利はある。選んだ結果、クビになったら、それはそれだ。開き直ることにした。
日本にはバカが多すぎる。底辺から世の中を見て、つくづくそう思う。