笹新とライオン

若い連中は、ジロリストというらしい。伝統の背脂チャカチャカラーメンジロウ、最近は、あちこちに出店している。私は、35年くらい前に知った。どうやら、ほとんど、個別経営でフランチャイズや直営ではないようだ。

なぜ、三田の本店に行ったのか、覚えていない。当時、慶應大学とも縁がなかった。タクシーに乗せたのは、ゼネコンの若手、4人組だった。どうやら、早稲田出身らしい。私も新卒でゼネコンに入って、7ヶ月で辞めている。今はコンプライアンスの問題もあり、それほどひどくはないと思うが、40年前のゼネコンは軍隊のようだった。下請けは奴隷、私が辞めたきっかけは、下請けの農家の親父さんが、作業中、小指を失った。本来、労災だが、数十万円のお金を渡すことで、うちうちで納めた。それが気に食わなかった。
ラーメンジロウの話が、若い連中から出るとは思わなかった。ジロウ好きをジロリストというらしい。
 
ラーメンがブーム、そのほかの安くてうまい食い物や、飲み屋もブームになっている。悪くはない傾向だが、大人の昔からの密かな場所がマスコミや若い連中に踏み荒らされているような気もする。
若い連中は、カッコつけて、小高い店に行ってくれ、おっさんは、カッコつける筋合いがないので、さらにすでに高い店には行き尽くしているので、安くて、気ままな店がいい。
 
とくに古くて、静かな店がいい。できれば一人、多くても二人だ。人形町笹新が、若者で賑わっているのは合点がいかない。気に食わない。銀座ライオンの本店も外人に占領されて、予約を取らなくなったらしい。
 
ライオンは昼間の午後、有名女優が一人でビールを飲んでいるような店だった。