友情は泥酔を見捨てる

神田あたりで、二人連れのサラリーマンを乗せた。一人は冷静、一人は泥酔状態で歩けない。まあ、冷静な一人がいればいいか、と乗せた。すると、時間を気にした冷静君は、上野まで行ってくれという。これはやばい。念の為、冷静君の名刺をもらった。もし、泥酔君が問題を起こしたら、警察に電話せざるを得ないので、その前に冷静君に電話する、という約束だった。
泥酔君の行き先は松戸、ゴーペイ決済で事前に料金は冷静君が払っていたので、松戸までタクシーを走らせた。案の定、泥酔君は目的地に着いても意識不明、後部のドアを開けて、降車を促したが、スニーカーは、両足脱いで、バッグもほっぽらかし、すると頭から、歩道に直撃状態で、転倒、冷静君に電話をしても当然の如く、留守番電話、迷わず、110番した。その間、後部座席で休むように言ったが、身体のコントロールが効かないようだ。警察が来る直前には歩道に大の字で横たわっていた。
警察到着、それでも身体のコントロール不能、先ほど、転倒した頭部には血が滲んでいる。警官は、困った様子で、6人がかり、最後は、警官が救急車を呼んだ。
そこまで、同席して、警官の許可を得て、私は立ち去った。1時間程度、稼ぎどきを無駄にした。名刺を置いていった冷静友達君はあまりに無責任だ。こうなることはわかっていたはず、泥酔君を私に押し付けて、逃げたのだ。名刺は警官に渡してしまったが、外資系のIT関連大手だった。私が若い頃も友人に泥酔君(今は税理士)がいたが、仲間で最後まで面倒を見た。最低でもカプセルホテルに放り込んだ。
人間関係が儚くなっている。私は天使ではないので、110番を躊躇いなくするのだよ。