単純労働の悲哀

単純労働の報酬

 
タクシードライバーは、原則、単純労働のように見られる。(本当はそうではないが)。
単純労働には、単純な報酬(満足感)が、重要だ。私が実感しているタクシードライバーの報酬。極めて、単純で分かりやすい。まず、売上、人を乗せれば乗せるほど、売上は上がる。目標は7万円だが、その前後まで行くと満足する。これで、その日の報酬は3万5千円程度になる。次は、深夜に食べるラーメンだ。これは、贅沢して、厳選した店で、比較的豪華な(高い)メニューを頼む。さらに自由に取れる休憩時間、トイレの近くが理想で、駐車しやすいトイレ近くには、タクシーが並んでいる。
会社の対応も重要だ。運転手は、常に人手不足、会社は、とても丁寧に運転手に対して接する。チップをもらうことも嬉しい。数百円だが、気は心、とは言ったもので、数百円で、気分は良くなる。これまで、私がやっているコンサルの仕事も喜びはあったが、喜びを感じるまで、時間がかかる。その分、職業的なプライドを保ち続けることが必要で、タクシードライバーには、その必要はない。そもそも、プライドが持ちづらい仕事だ。
今日(1月7日)は、帰庫すると、朝4時帰庫のメンバーが、ベテランを含めて、売上不振に嘆いていた。私は、最後まで、粘って、6万円弱の売り上げだった。最後の無線を取れば、6万円は間違いなく超えたが、さすがに、3時50分の無線はとる気にならず、無視して、帰庫した。ベテランも4万円行っていない。通常は、32件以上ある乗車も今日は、26件だった。私、独自のルートを開発しつつあり、そのルートを巡回すると、地味だが、一定の売り上げを取ることができる。こうした独自のルートの開発が重要だ。
こうした工夫がプライドといえば言えなくもない。ただし、こうした日の営業事務所の雰囲気は暗い。愚痴と悪態、さらにやっかみに溢れている。私は、早急に帰宅した。
浅い運転手どうしの人間関係で、最初の試練に耐えられずに辞めていった人の悪口も出る。根性がない、はまだしも、男じゃない、は言い過ぎだろう。私も今に至るまで、何度も辞めそうになった。これは、あくまでも副業で、自分の訓練のためにやっている、と自分自身に言い聞かせながら、それほど、苦痛ではなく、こなすことが、どうやら、できるようになった。
会社は明らかにしないが、年中募集ということは、年中、辞める人間がいるということだ。同時期に入った何人かも辞めてしまったらしい。普通の精神強度の人には過酷な労働だ。私は、自身の精神強度を試すためにやっている。

午後の不忍池、枯れた蓮子が、夕日に浮かぶ