タクシーに飽きた


飽きてきた。

 
タクシー運転手に慣れるにしたがって飽きてきている。ほぼ、同じことの繰り返し、楽といえば楽だが、面白みは、あまりない。売り上げにこだわる気持ちも無くなってきた。ノルマらしきもの、税抜5万円をさっさとこなして、サボるか、早めに帰るか、そればかりを考えている。やはり、向いていない気がする。私は、コンサルタントであり、中小企業診断士である。このキャリアと資格を活かせば、他の仕事もなんとかなる。
問題は年齢だが、一人でやる分には問題ない。
昨日、最後のお客は、元ボストンコンサルティングコンサルタントだった。ボスコンとは、何度か競合(コンペ)して、全て勝っている。それはそうだ。私の見積もりは、ボスコンの半分程度、オフィスのコストは多分、100分の1だ。今、親しい起業家も外資系コンサルの出身、私自身、診断士に教える先生をやっていた関係で、外資系コンサルの教え子はたくさんいる。お客は、ボスコンの給料はいいが、過酷な仕事と無責任さについていけず、今は別のベンチャーで、人材派遣の経営企画をやっているようだ。新卒でボスコンと言っていたので多分、国立系の難関大学出身だ。
私がコンサルを経て、タクシー運転手をやっていることに興味があったようで、話し込んだ。私は、年齢的な限界と新しい仕事を始めるにあたって、これしかなく、それなりに自由にやっていると話した。今も自分のコンサル会社を持っており、コンサル会社の執行役員をやっていることも、うっかり話してしまった。
それにも興味を持ったようだ。
通状、「なんでタクシーなんですか」という質問が来るが、彼は、そんな質問はしない。そこで、深く考え込んだ。なんでタクシーをやっているのか、改めて自答した。
 
会社に帰って同期らしき2人と一緒になった。納金作業というめんどくさい作業が待っている。同期らしき2人のうちの1人(彼は頭脳明晰だ)に話を聞いた。聞くと前職は倉庫の作業員だと言った。少し、驚いて、考え込んだ。もう1人は、1日1000円を払えば、やってもらえる洗車業務をあえて自分でやっている。
 
ボスコンを辞めた彼、倉庫作業からタクシーに移った彼、洗車を自ら行う彼、本質的には、同じだ。私も同じだ。
運転手をもう少しやるとまた、新しい発見がありそうだ。社会は面白い。明日は、朝、5時くらいにタクシーを終えて、夕方からはコンサル仕事だ。銀行交渉のアシストをする。
 
飽きるには、まだ、早い、と自省した。